ゲームを始めて最初の1分の「つかみ」で人を楽しませる工夫をしよう

Unityインターハイで
作品が評価されるポイントを
語っておこう……
エッ!w
そんなの語っていいんすか!?
いいんだよ……!
インターハイブログだからな……!


のっけから刺激的なトークをしてしまったが、タイトルにあるとおり「ゲームを始めて最初の1分で楽しませる」というのが答えである。これだけだと話が終わってしまうので、ちょっとじっくり話してみます。

個人制作ゲームは多くの場合、長く遊んでもらえない

悲しいけどこれ、戦争なのよね
戦争じゃないっす!
長く遊んでほしいっす!


先に言っておくと、何もショボイ出来だから遊んでもらえないとかそういうことではない。インターハイの審査員、あるいはUnityインターハイに限らず、コンテストとか文化祭とか就職活動とか、色々な場面で君の作った「個人制作のゲーム」を他人に評価してもらう機会はあるが、やはり長くは遊んでもらえないことがほとんどなのだ。

なぜならば!他にもたくさんの学生作品、就活作品があるからなのだ!昨年のUnityインターハイでは76作品が提出されたが、1つのゲームを30分遊ぶと全て遊び終わるまでには……なんと38時間かかってしまう!

しかも休みナシでぶっ続けで
遊んだ場合だからね
ウ、ウ、ウオアアアーーー!

審査も結構大変なのだ……

遊んだ時間が短い=評価が低いことにはならない

これも真実なんだな
どーしてっすか!?
面白かったら沢山遊ぶっす!


そうとは限らない。ゲームセンターのゲームで想像してみよう。面白そうなゲームがあって、1プレイ100円出してみたとしよう。ゲームセンターだから、それで遊べる時間はせいぜい5分か10分だ。もし面白かったら印象に残るし、またやりたいという気持ちになるのではなかろうか。

子供の頃にジャンケンで遊ぶ
ゲームとか、レースゲームとか
そういうのを遊んだ経験、ないかな?
やりましたね~

5分くらいなんすけど
面白かった覚えがあるっす!

5分だろうと面白いものは面白い

大事なのは最初の1分の「つかみ」

プレイしてくれる人の気持ちになってみよう。色々なゲームがある中で、自分のゲームをプレイする番になった。作った本人は何をどうするかよくわかっていても、その人は初めてそのゲームをプレイするわけだ。当然操作はよくわからないし、どんなゲームで何をすればクリアなのか、プレイしながら面白さを理解していくことになる。

まず遊び方やゲーム目的が
すんなりわかってもらえないとな
何をどうすればいいか
わからないとストレスっすよね……


操作は理解できてもそのゲームの「本当に面白いところ」をプレイしてもらえないと、ゲームの評価は最大にはならない。「ステージ3から面白くなるのになー、必殺技を出すと気持ちいいんだけどなー」……と思っても、そこまで到達せずに「よし、次のゲームを遊ぼう」と終わってしまうかもしれない。だとしたら苦労が報われないよね。絶対に悲しい。

だから最初の1分が大事なんだ
なるほど……最初の1分で
面白いところが伝われば
正しく評価してもらえるっすね……


最初の1分の「つかみ」で楽しませれば、例えゲームの全てをプレイせずとも「あのゲームは良かった」「またプレイしてみたい」「ぜひ開発者の思いが報われてほしい」と思ってもらえる。Unityインターハイの審査員だけでなく、世の中の評価の場、どこでも同じだ。

モバイルゲームやアーケードゲームでも同じ

この「最初の1分で楽しませる」というのはモバイルゲーム(ソーシャルゲーム)やアーケードゲーム(ゲームセンターのゲーム)でも非常に、非常に気を使って作られている。チュートリアルでよくある「今だけゲージを満タンにして大技を使えるようにしたわ!」とか「今だけ強力な助っ人キャラが使えるわ!」とかはまさにこれである。最初に面白いところをプレイさせ、継続してプレイしてもらおうというテクニックだ。

つまらなかったら
すぐやめちゃうでしょ、課金する前に
確かにそうっすね……


アーケードゲームもシビアで、ゲームを始めるのに100円入れる必要がある。100円入れて、遊び方がわからないうちに終わってしまったり、つまらないと思われたら二度と100円入れねー!という気になるだろう。

ううっ
昔の自分がそうだったっす……!
人間……じゃなかったクマだもの
仕方ない


ちなみに昔のアーケードゲームでは「1面で気持ちよくさせ、2面で激ムズの難易度にしてゲームオーバーにさせる」というのが(一部で)セオリーだったそうだ。100円で10分も20分も遊ばれてはお店の売り上げが上がらないからだ。

ヒドイっ……!
そんなことを考えていたっすね!
悲しいけどこれ、ビジネスなのよね


コホン。つまりUnityインターハイでも、ステージが100個あるとか、プレイキャラが10人いてそれぞれワザを4個ずつ持ってるとか、マルチエンドで5段階のエンディングが!とかボリュームを増やすよりも、まず最初の1分で楽しませることを目標にゲームを作る方が、同じ苦労でも報われる可能性はとても高い。

世の中のゲームはCMで宣伝されてたり
続編だったりで、何もしなくても
1時間か2時間は遊んでもらえるけど
個人ゲームはそうでないからね


最初の1分の「つかみ」で楽しませるには

  • 1)操作がわかる
  • 2)ゲームが始まる(なるべくお話とかムービーで時間を使わない)
  • 3)ゲームのキモとなる部分に到達する


これを1分以内にやるといいぞ
結構大変な気がするっす……
操作説明とか大変じゃないっすか?


操作がわかるタイトル画面

これを見てみてほしい。


Unityインターハイ2015優勝作品「怖がり少年(愛知県・東郷高校)」。「僕は暗闇が苦手だ。」の字幕から始まり、タイトル画面でプレイヤーを歩かせてからゲームをスタートさせることで自然に操作方法を説明している。暗闇が苦手なので明かりを付けなくてはならない、という世界観とゲーム性もすんなり理解できる


これはウマイね……
相当センスあるよ
ほえー この10秒くらいで
そこまで伝わるっすか
そめ先生もいちおー
ゲーム作ってた事あるからね

わかる人はひと目でわかるよこれは


そんなわけで高校生のアイデアをパク……もとい、参考にしてそめ先生もゲームジャムで「操作できるタイトル画面」を作ってみたわけなのだ(実装したのは大学生の開発メンバーだが)。何度か紹介している動画だが、エンコ殺しのため動画で改めて紹介だ。


「せつぶんくん」ではタイトル画面で必ずグルっとまわって豆を飛ばしてからでないとゲームが始まらない。つまり、ゲームが始まった時点で操作はもうわかっている状態になる。また開始1分以内にアイテムでスピードアップしたり、(うまくプレイすれば)花びらが舞うフィーバータイムに入る



「鮭サバイバル」でも同様に、タイトル画面で「エサを食べる」ところまでプレイするとゲームが始まる。開始1分以内に「急流」が来て4人のプレイヤーは縦一列にフォーメーションを組まなくてはならない

最初の1分で楽しませるには、タイトル画面以外にも「序盤で面白いギミックを出す」「必ずアイテムが手に入るようにする」「敵がワラワラ出てくる場面を出す」というような工夫が考えられる。ある程度ゲームができあがってきたら、どうやってラクに実現できるか考えてみよう。

なるほどー、
さすがそめ先生っす!
メインゲームのアセットや
スクリプトを流用すると
意外とすんなり実現できるぞー


ちょっとした苦労でワンランク上の仕上がりになるこの演出、ぜひ工夫してみてくれ!